――側頭部にペインティングをした作品、「人体と水墨画の融合」はすごくインパクトがありました。どういう発想で生まれたのですか?
CHiNPAN:あれは2011年、東日本大震災の被災地でのペイントのライブイベントに向かっている車中で、カメラマンの伊藤元気さんとの話で盛り上がったのがきっかけですね。直接体にペイントしたものを伊藤さんに撮影してもらい、その写真を、テクスチャーを追求して辿り着いた阿波和紙に印刷しました。写真なんだけど、絵のように見える感じが好きで。
――たしかに写真のようにも見えるし、絵のようにも見えて、不思議な感覚が湧いてきます。CHiNPANさんはテーマを設けて作品を手掛けているのですか?
CHiNPAN:2019年までは「融合」がテーマでした。例えば2018年に発表した「平成成仏」は、自分の過去の作品や平成の新聞や号外などをコラージュして、その上から墨で蝶の羽に模様を描いたもの。平成の終わりに、いろんなものを作品として成仏させています。なかには昔付き合っていた人の写真なんかも使っているんですよ(笑)。
――それからテーマは変わったのですか?
CHiNPAN:「再生と破壊」ですね。2019年に愛犬が高齢で亡くなり、その半年前に娘を出産しました。わずか半年の間で、生と死に向き合ったことはとても大変な経験だった。もやもやと受け入れられないものもあったりして、作品に落とし込むようになりました。最近は獿を描くことにハマっていて。獿は悪夢を食べて、良夢に変えてくれるという架空の動物。獿の絵を枕元に置いて、邪気を払う風習もあったりします。「再生と破壊」にもリンクしていて、コロナ禍という時代性もありますね。作風も意図せぬ水墨画というか、自分で調合した液体を使って、自然にインクや墨が動きながら紙に乾いていく表現を取り入れたり。自分がコントロールできない手法を、作品として表現するようになりました。